疼痛

急性痛と慢性痛は脳の働きが違う!

急性痛と慢性痛では脳の働きが全然違う!

というのが今回のお話です。

脳の機能局在ってただ暗記してもすぐ忘れませんか?

僕は忘れます(笑)

けれど、何かに関連付けて覚えると意外と頭に残ったりする。

疼痛について勉強しようと思ったのは
日本ペインリハビリテーション学会を聴講したのがきっかけですが(オンライン学会って便利ですね)、

痛みの伝導経路を学んでいくうちに
脳機能についての知識が自然と身についていくのが分かりました。

嬉しい副産物です。

さて、

包丁で指を切った、
箪笥の角に足の小指をぶつけた、
転んで膝をすりむいた…

これら急性痛を感じた時に働くのは、
両側の視床、島皮質、前帯状皮質などの感覚弁別系の経路です。

一方で3ヶ月以上続くような慢性痛を訴える人の脳では、
扁桃体、眼窩前頭皮質、内側前頭皮質などの認知/情動系の経路が働いています。

 

今回は急性痛を感じた時に働く脳部位のひとつ、
前帯状皮質について詳しく見ていきましょう。

前帯状皮質とはブロードマンの24野、25野、32野、35野を含む領域です。

痛みの侵害刺激は脊髄後角を通って帯状皮質へと投射されます。

中でも25野は不安や恐怖など、
負の情動を惹起する扁桃体と直接的な連絡経路を持っています。

慢性痛を抱えていたり不安障害を患っている人は、
扁桃体が過活動を起こしているのはよく知られていますね。

対して32野からは、扁桃体へ向けて恐怖・不安を抑制するフィードバックがかかります。
つまり、不安を感じたとき、同時にそれをなだめる自己抑制機能が働くってこと。

不安を受け取る25野と、それを沈める32野は同じ前帯状皮質にある、
ってことですね。

その他にも、前帯状皮質の25野は様々な脳部位と連絡を取っています。

・前部島皮質(身体感覚と情動の表出に関与)
・海馬(情動記憶に関与)
・視床下部(ストレス応答の表出に関与)
・前頭皮質(高次脳機能)
・中脳水道周囲灰白質(下降性疼痛抑制系)
・側坐核(ドーパミンシステム)

うーん、覚えきれない…笑

疼痛に関連したところで言うと、
前帯状皮質は下降性疼痛抑制系に関わっている、という点がポイントだと思います。

下降性疼痛抑制系の活動に重要になるセロトニンですが、
前帯状皮質は大脳皮質の中でセロトニントランスポーターが最も多く分布している場所になります。

セロトニンの別名を聞いたことがある人もいるんじゃないでしょうか。
そう、幸せホルモン、ですね。

不安な感情の処理、睡眠、摂食機能、喜びの感情など、
いろいろな身体/精神活動に関与するのがセロトニンです。

そして、
使われずに余ったセロトニンを回収して再利用するのが、トランスポーターの役割です。

仮に前帯状皮質が機能不全になると、セロトニンの再取り込みが行なわれなくなります。
幸せホルモンの枯渇。

結果として、うつ状態になり、睡眠障害が発生し、自律神経の乱れが起こる。

慢性疼痛を訴える患者の一部は、
かように重要な役割を果たす前帯状皮質(正確には吻側前帯状皮質膝周囲)に灰白質の減少が認められるそうです。

まとめ

・急性痛と慢性痛では働く脳の部位が異なる
・急性痛で働く前帯状皮質は脳の様々な部位と連絡している
・前帯状皮質は下降性疼痛抑制系(中枢感作)に関与する